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とある博士の備忘録

とある博士の備忘録。日記、ライフスタイル、研究メモ等について書いていく予定(多分)

大掃除と素粒子実験と私

なんとなく、今日は大掃除をしました。年末は友達と遊びに行ってたので、ちょっとやるのが遅くなりましたが誤差の範囲だと思って良しとします。

 

掃除は一度始めると、最初はちょっとやればいいかな、と思ってたのが、綺麗になるのが楽しくなって本腰入れてやりたくなりますね。

 

物も結構溜まってきたので、使わないものを綺麗さっぱり捨てていくと、博士課程の入学時のガイダンスで配布された書類や、博士課程1年、2年の時に使っていたノートとか読んでた論文がでてきました。博士課程に入学したての私は、新粒子を発見するんだ!と意気込んでいました。それを思い出し、それから3年近く経った私と対比して見ると、自分は随分遠いところまでやってきたような気分になります。まさか自分が物理の世界を抜けて、民間の研究職として人工知能を研究し始めることになっているなんて、当時の自分は夢にも思っていなかったに違いありません。

 

博士課程での私の研究テーマは新粒子探索ですが、新粒子は結局見つかりませんでした。ただ見つかっていたとしても、続けていなかったな、とも私は思っています。私は時空の仕組みに興味があって、その解明の第一歩となるような新粒子を探索していました。ただ、今の人類にできる素粒子・時空の検証はたかが知れていて、その一歩は本当に僅かな一歩である、という事実が、新粒子を発見するという当初の好奇心・野心で浮かれていた私に冷水を浴びせ、私は目が覚めるような虚しさを覚えました。

 

私が生きている間に解明できることと、素粒子実験で今後できることを予測するに、この業界で研究を続けても、私は時空の謎を殆ど解明できないままこの世から去ることになる。それは入学当初から頭のどこかで理解していましたが、実際に研究をしていくにつれそれを肌で実感し、それが自分の研究へのモチベーションを徐々に削っていきました。研究の多くはグループミーティングや地味な作業で占め、激しい競争による人的摩擦や政治的対立を上手く対処する必要があったりと、苦労の割に素粒子実験で自分が生み出せる成果は本当に些細な一歩でしかなく、虚しい気持ちがどんどん強くなっていきました。また、あまりにも進みすぎた素粒子実験研究の細分化のために、非常に限定されたスキルだけが身についてしまい、キャリアパスの横幅を大きく狭めるリスクも背負う必要があるので、そのリスクを負ってまで自分はこの研究が好きなのか?という自問に対し、私はNoだと思うようになりました。

 

こうして、私は博士課程2年の12月終盤に民間就職することを決意しました。以前から私は機械学習に興味を持っており、また統計数学が好きだったこともあり、物理出身だけど、人工知能の研究職につきたい、と思い始めました。人工知能は今後様々な場面で役に立つことが期待でき、かつ素粒子実験に比べ、研究内容の成果が社会に反映するまでのスピードが断然早い。また潰しの効く分野でもあり、この点も魅力的に感じました。就職活動はかなり大変でしたが、それについてはまた別の機会に書きたいと思います。

 

そんな思いにふけながら掃除を終え、再び博士論文審査会用のプロットを作る作業を始めました。博士論文最終版を提出したら、博士課程での思い出も書いてみようかと思います。

 

それでは今日はこの辺りで終わりにしたいと思います。おやすみなさい。